東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1408号 判決 1981年1月26日
控訴人
田島大二郎
被控訴人
石井玄
主文
本件控訴を棄却する。
控訴人の当審における新たな訴をいずれも却下する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実《省略》
理由
一確認の訴は、法律関係を証する書面の真否の確認を求める場合を除いては、現在の権利又は法律関係の存否の確定のために、かつ、これを即時に確定するだけの法律上の利益ないし必要がある場合にかぎつて許されるものである。
二ところで控訴人の本来の訴は、その主張に照し、いずれも事実の確認を求めるものに外ならないから不適法である。つぎに、当審での訴の変更にかかる(なお、訴却下の第一審判決に対し、控訴を提起した控訴人が、控訴審において、交換的に或いは追加的に訴の変更をなし得るかは一個の問題であるが、この点は暫く措く。)控訴人の控訴の趣旨一項の請求は、確認を求めると主張するところが、本来確認の訴の対象となる権利又は法律関係に該るといえないうえにその趣旨に照らし被控訴人との間において即時に確定するだけの法律上の利益を欠くものであることが明らかであり、また控訴の趣旨二項の請求は、同項記載の各書面の真否の確定を求める趣旨であると認められるが、右各書面は控訴人の主張自体からしていずれも直接に権利関係の成立存否にかかわるものではなく、民訴法二二五条の法律関係を証する書面に該らないことが明らかであるから、控訴人の当審における変更後の各訴はその余の点を検討するまでもなくいずれも不適法として却下を免れない(従つて、控訴人のした文書提出命令の申立は却下する。)。
三してみると本件控訴は理由がないから、これを棄却し、また、当審での変更にかかる訴はいずれも却下することとし、なお民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
(川上泉 奥村長生 福井厚士)